話題の韓国製ドラマ、『今、私たちの学校は…』を全話視聴しました。面白かったです。
あらすじを説明するならこんな感じ。
学校でゾンビ
これ以上の説明は不要です。高校生がゾンビから逃げ回るだけといっても過言ではないぐらい非常にシンプルなお話です。これで12時間の話が作れるんだから、ゾンビは偉大ですよね。
登場人物の中で俺のお気に入りは作中を通して主人公たちを追い詰め続ける不良高校生のユン・グィナムくんです。
不良グループの一員であるグィナムくんは弱いものを追い詰めることにかけては天才的で、保身のためなら人を殺めることもいとわない正真正銘のチンピラです。高校を卒業してもろくな人間にはならなかったでしょう。
ただし、不良グループの中でのリーダー格というわけではなく、腕っぷしもそこまで強くはない。度胸があるわけでもなく、もちろん頭が切れるわけでもない。単なる小物です。この小物っぽさが彼をチャーミングにさせています。
※注意! ここから先はネタバレを含みます。
通算1勝4敗 不屈の男、グィナムくんの戦績
物語の中盤から、グィナムは主人公のイ・チョンサンに執着するようになります。きっかけは校長先生との一連の騒動を動画に撮影されてしまったことですが、最終的にはチョンサンに片目を潰されたことが彼のチョンサンに対する憎しみの原動力となります。
記念すべきチョンサンvsグィナムの第1戦。試合は学校の図書室で繰り広げられました。フェアプレイ精神の塊であるグィナムくんは試合前に所持していた包丁を投げ捨てるという優しさを見せてくれました。
決まり手は片目つぶしからの書架からの突き落とし。下に群がっていたゾンビたちにもみくちゃにされ、グィナムくんは失意の退場を遂げます。
しかし、グィナムくんは転んでもただでは起き上がりません。幸運にも(?)ヨナス・ウイルスに対する抗体を持っていた彼は、完全なゾンビとはならず「ゾンビなのに意識がある」という半分ゾンビになります。グィナムくんは新たに手に入れたゾンビパワーを活用してチョンサンを探し始めます。
そして第2戦、今度は偶然出くわしたイ・スヒョクとの戦いです。不死身のゾンビパワー+包丁という圧倒的優位な条件にあったグィナムくんですが、惜敗します。
決まり手は2階踊り場からの突き落とし。やはり落とされます。
チョンサンとの再戦である第3戦は屋上で勃発します。屋上で戦闘が起きる時点でどのように負けるかがわかってしまうのが悲しい……。
3戦目は割と善戦しており、チョンサングループをいい感じに追い詰めます。しかし、グィナムくんは鬼滅の刃の禰豆子みたいな状態になった委員長にやられてしまいます。
決まり手は安定の投げ落とし。屋上から落ちます。
一途なグィナムくんは屋上から落下したぐらいではめげません。すぐに立ち上がり、当然のようにチョンサン探しを続けます。
第4戦。工事中の英語生活館の足場の上で争いは起きます。3度目の正直。グィナムくんはチョンサンにかみつくことに成功しました。ただし、その後の抵抗によってチョンサンの目を潰すという目的はかないませんでした。
決まり手はタックルからの突き落とし。豪快に落ちます。
最終戦となる第5戦は英語生活館の最上階で繰り広げられます。グィナムくんはなぜか高いところでしか戦いたがりません。対戦相手はさっき負けたばかりのチョンサンです。
3度目の正直でグィナムくんはチョンサンの片目を奪うことに成功しました。グィナムくんの初勝利といえるでしょう。
しかし、そのあとなぜか自分から穴の方に近づいて行って、瀕死のチョンサンに落とされてしまいます。最後の最後までグィナムくんは落ちっぱなしでした。
なぜ落ちまくるのか
グィナムくんは劇中で高所から5回落とされています。どんなに高いところから落とされても口から血を吐くだけで、次のシーンではけろっと歩いているグィナムくんはまさに不屈のゾンビなわけですが、どうしてこんなに落ちるんでしょう。
ゾンビものの特性を考えればそれは明らかです。主人公のライバルであるグィナムくんは、主人公に負けなければいけないわけですが、同時に物語が終わるまでは負けた後も復活しなければならないという宿命を持っています。
そんな彼が、おなかに一発大きいパンチを食らってぱたりと倒れたらどうでしょう。次の瞬間には棒やら石なりを持った主人公勢力からタコ殴りにされてモザイクだらけのぐちゃぐちゃの体にされてしまいます。
いくら不死身のゾンビといえども体は重要です。頭がつぶれてしまったり、足が切断されてしまったりしたら元気に動くことはできません。足のないゾンビが走っている姿とか、頭のないゾンビが目が見えているかのように動くのは映像的な違和感が大きいです。
ゆえに、製作者はグィナムくんを高所から落下させることで「死亡」と「逃亡」を同時に済まそうとしたのでしょう。落ちちゃえば主人公たちも手の出しようがありませんから、倒れている彼に追撃しようなんて思わなくなるわけです。そのおかげで彼は次の戦いでも五体満足な状態で主人公たちに臨むことができるのです。
まじめに考えると屋上から落ちたら骨がばきばきになって、人体構造的に立ち上がれなくなるのが普通かもしれませんが、そこはまぁ、ウイルスがなんとかしてくれたってことで……
グィナムくんはなぜゾンビ化しなかったのか
劇中で完全なゾンビ化しなかった人物は、いじめられっ子のミン・ウンジといじめっ子のグィナムくん、そして委員長の3人だけです。委員長はグィナムくんにかまれたことで発症したためにグィナムくん由来の抗体を移されていてもおかしくありません。なので、実質オリジナルで抗体を持っていた人は2人といえるでしょう。
ミン・ウンジに関しては不明ですが、グィナムくんは最初の発症者であるイ・ジンスとかかわりがあったキャラです。イ・ジンスはウイルス開発者のイ・ビョンチャンの息子なので、グィナムくんは間接的にウイルス開発者との接点があった人物です。
そのことから、何らかの事情があって完全なゾンビ化しなかった(例えば、息子のイ・ジンスは事前にほかのウイルスにも感染していてグィナムくんはそのウイルスに感染していたために症状が異なっていたなど)と勘ぐっていたのですが、そんな説明は一切ありませんでした。
グィナムくんは本当にただのラッキーな不良だったようです。頑丈な体に産んでくれた親に感謝ですね。
総括
グィナムくんをはじめとして魅力的な人物が多数登場する『今、私たちの学校は…』。見返してみると、一番最初のシーンにグィナムくんが登場していてびっくりしました。
お気に入りのキャラクターが見つかったら、そのキャラクターに注目して再度視聴してみるのも面白いかもしれません。