みなさんの部屋で一番よくつかわれている色は何でしょう。
モノトーンの部屋は大人っぽく上品な印象ですね。逆にカラフル過ぎる部屋は子供っぽい感じがします。オレンジや黄色を基調とした部屋は暖かそうですし、青っぽい色の部屋は涼しそうです。
普段何気なく選んでいる部屋の色ですが、色には単に部屋のイメージを決めるだけではなく、その中で暮らしている人間の心理状態を変化させる力がある、と『一瞬で心が整う「色」の心理学』では述べられています。
例えば、本書の冒頭では無彩色の部屋ではそうでない部屋に比べて作業効率が落ちてしまうという研究が紹介されています*1。
(左の部屋よりも右の部屋で作業を行った方が作業効率がよくなる)
このように色が人に与える影響を様々な視点から解き明かそうとしたのが『一瞬で心が整う「色」の心理学』です。部屋の色のことから、食べ物の色、あとは色を使った自分の心理状態の調査方法などまさに"色々"書かれています。
自分が特に興味深いと感じたのが、部屋の色に関して言及されている部分です。
リモートワークをしている人は自分の部屋で過ごす時間が多くなると思いますが、実は仕事の作業に応じて適した色とそうではない色があるのです。
例えば、記憶力を必要な作業や細かな作業の場合は赤を部屋に取り入れるとよいといいます。赤には注意力を喚起させリスクを回避させる行動を促進させる効果があるからです。
一方で、アイデアを出したり、ちょっと新しいことを考えてみるときなどは青いものがあるとよいとか。青には人を落ち着いた気分にさせる効果があり、安全性が保たれている場面では新しい行動や新しい考えが出やすいからです。
また、和やかな雰囲気を作りたい場合は黄色やオレンジなどを取り入れた部屋がベストだそうです。暖かさを感じさせる黄色やオレンジにはコミュニケーションを活発にさせる作用があり、チームの一体感を高めるからです。
部屋に色を取り入れる際のコツですが、特定の色を持った小物(ペンやノート)などを配置するだけではあまり効果がなく、カーテンや仕切りなど、視界に占める割合が大きいものに取り入れたい効果を持つ色を配置するとよいそうです。
仕事ではなく休息の時間、寝室に取り入れたい色はどんな色でしょうか。
イギリスのホテル予約サイトTravel Lodgeが行った調査によると、青い部屋で寝たときに快眠が得られるのだとか*2
血圧や心拍数を低下させる青は入眠の手助けをしてくれるので、青を使った部屋では長くぐっすり寝ることができ、起きたときに「よく寝た」と感じやすいのです。
逆によく寝れない部屋の色は紫色の部屋。確かに紫色の部屋で寝たいとは思いませんね……。そんな部屋で実際に寝ている人がいるのかどうか微妙なところですが。
ピンク色の部屋、というのはちょっといかがわしい感じがしますが、最近では刑務所で採用されていることも多いとしってびっくりしました。
具体的にはベイカー・ミラー・ピンクという種類の特殊なピンク色の彩度を少し落としたピンクが使われているそうで、人間の攻撃性を減らす効果があるそうです。ピンク色の部屋で喧嘩しても間抜けに見えてしまいますからね。
来ている服までピンクだとちょっとピンクすぎます。
ピンク色の部屋は「若さ」「美しさ」を想像させダイエット効果もあるとかないとか。恋愛に時間をさける時間がない囚人たちにとってはあまり意味のない副次的効果です。
色について様々な知見を与えてくれる『一瞬で心が整う「色」の心理学』。引っ越しや部屋のリフォームを検討している方は、一読してみると面白いかもしれません。