『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』をクリアしました。面白かったです
クリアまでの時間は自分の場合だと14.4時間。想定されているクリア時間が20時間とどこかのインタビューで見た覚えがあるので平均的なクリア時間だったんじゃないでしょうか
体験版の時点での感想は以下の記事に書いています。タワーディフェンスという大手のゲーム開発会社が挑んでこなかった珍しいジャンルのゲームとあって期待半分不安半分な感じでした
体験版で「いいね!」と思ったのは独自の世界観やアートワーク。こちらは本編でより深く味わうことができます。単純なアートワークの巧みさもさることながら、それをゲーム的な演出に落とし込む工夫が際立っていると感じました
物語が直接語られることはないのですが、エンディングまでプレイするとドラマチックで最後に少し切ない気持ちになります。ヒロインの世代と一緒に長い旅路を共にしたかのような感覚になるクリア後の余韻が気持ちいいです
タワーディフェンスというゲームの性質上、待ち時間が多くて、単調になるんじゃないかというのが体験版時点での懸念でしたが、半分はずれで半分当たりだと思いました
用意されたステージには様々なギミックが用意されていてプレイヤーを飽きさせない工夫がなされています。村人の職業、主人公の宗のスキルが次々と開放されていくので「新要素を開放する」ことがモチベーションになってどんどん先に進めたくなります
しかし、やることは迫ってくる敵を迎撃することであることに変わりはなく、セオリーがわかってしまうとほとんど同じパターンでクリアできるようになっているのでプレイ内容に関しては単調といえば単調でした。すぐに2週目やりたいかっていうと、ちょっと首を捻ってしまいます。これ以上ステージを増やすと蛇足になってしまうというギリギリのラインでゲームが終わる絶妙なプレイ時間に調整されている気がしました
体験版にはなかったのが拠点の復興システム。ステージクリア後に今までクリアした拠点に戻ると村が復興されていて報酬がもらえるという仕掛けです。最初は面白いと思っていましたが、後半につれて面倒になってきました。一々戻らなきゃいけないのがちょっとつらい。そして一番つらいのが特定の施設を修理するのに木材が必要なこと。見つからない木材を探して村を駆け回るかわいそうな宗を見ている時間が長かったです
UIに関しては改善の余地があると感じました。拠点などで魔像を付け替える際の操作はデザイン重視すぎて面倒でした。もっと便利にできそうな気がします
一番改善の余地がありそうだと感じたのは、村人を職業につけるのが気持ちよくできないこと。1ステージあたりの最大の村人の人数は12人ぐらいなのですが、12人を集めて1人1人を職業につけていくのがとても難しいです。そもそも、タワーディフェンスゲームの醍醐味の一つはユニットを大量に配置してわちゃわちゃしているのを楽しむということだと思うのですが、本作では村人一人一人に職業を割り当てないといけないために村人が多いと「こんなに多いと面倒だな」と感じてしまいます。難易度低めで村人が全員いなくてもクリアできるようになっているのでなおさらです。1人ぐらい試し切りに使って刀のサビにしてもいいかなと思えるぐらい……
タワーディフェンスゲームは準備フェーズと敵がやってくる迎撃フェーズの時間を交互に繰り返していくゲームですが、敵を迎えるウェーブの時間より準備フェーズの時間のほうがわくわくしました
本作では「地形把握」「世代の移動」「結晶集め」「村人集め」「設備の修理」「宝さがし」と昼の時間の準備フェーズにやることが多く、かなり忙しくなります。「夜になったらここで敵を待とう」と考えたり、「この設備を使って敵を一網打尽にしよう」とか考えている間が楽しかったです。いざ夜になってみると、宗を使ってズバズバ切っていればあっけなく夜が明けることが多く拍子抜けのことも多かったです。準備中が一番楽しいって旅行みたいです
ここからはネタバレありの感想です
使っていて一番役に立った職業は「角力」です。敵の注意を引くタンクの役割をする職業なのですが、とにかく使い勝手がいい
後半は大物の敵がわらわらとやってくるのでこいつがいなければすぐに世代が狙われてしまいすぐにゲームオーバーになってしまいそうになります
逆に使い方がよくわからなかった職業は「太夫」と「乱波」です。「乱波」はほぼクリア目前の段階で手に入るため単純に使い所がなかったのが理由です。呪炎を鎮める力を持つという「太夫」に関しては呪炎を使う敵が出現しなければ役に立たないという欠点があります。役に立つ状況がピンポイントすぎて「わざわざ必要か?」でした
デザイン的には陰陽師が一番かっこいいですね。目がいっぱいある感じがキモかっこいい。エヴァンゲリオンみたいな感じです
ボス戦に関しては、村人たちの役立て方がよくわかりませんでした。結局、攻撃のタイミングをプレイヤー側で制御できない村人たちに任せるより宗をうまく使って攻撃したほうが安定します。後半のボスに行くにつれてこの傾向は顕著でした
印象に残ったボスは「百足女郎」と「八面王」です。どちらもギミックを使用するボスですが、こういうパズル要素があるボスのほうがアクション要素の強いボスより戦っていて面白かったです。このゲームのアクション要素は難易度低いので、ぶんぶんしていれば勝てます。ギミックボスはちょっと考える必要あるので面白いです
本作のラストを飾るボスは「七曲り」という畏哭です。
すごく強い……わけでもなく、因縁の敵……というわけでもなく、ラスボスとしてはなんだか微妙な相手でした。この作品は細かい部分に『大神』リスペクトな部分があるので盛大なラスボス戦が繰り広げられるかと思いきや肩透かしを喰らいました。
七曲りって有名な妖怪なんでしょうか? お笑い芸人のコンビ名でしか知らなかったです
ラスボス戦は盛り上がりに欠けましたがその後のムービーが感動的だったので「良し」です。なんだかんだ言って世代は元気になるんだろうと予想していたら、まさかのビターエンドでした。でも、こういう終わり方もいいなぁと思わせる終わり方でしたね。いい意味でPS2時代のゲームみたいなムービーでした
プレイ時間20時間程度でクリアできる本作。短いながら工夫を凝らした作りになっていて一つの世界を駆け抜けるようなゲームだったと思います。「ナイストライ!」って感じでした
P.S プレイしていてなにか他のゲームの操作感に似てるなぁと思っていたら「エルシャダイ」ですね。自分だけかもしれないですが、雰囲気含め、似てる気がしました。ネタゲーム扱いされていますが、プレイしてみると意外と面白いゲームです