セルフレジに搭載されている光学迷彩について 新しいものは「見えない」?

近所のよく使うセブンイレブンにはセルフレジがあります

セブンイレブン、「お会計セルフレジ」導入 - Impress Watch

合計3台あるレジスターのうち、1台がセルフレジとなっていて、店員さんがいないときもぱぱっと会計を済ませることができるスグレモノです

以前住んでいた場所の近くのファミリーマートでもセルフレジがありました。ただし、こちらのセルフレジはセブンイレブンのセルフレジとは異なり電子マネーしか対応していないという弱点がありました(コンビニで現金払いなんてしないので自分にとってはデメリットではなかったのですが)。

セブンイレブンのセルフレジは現金払いにも対応しています。自分でバーコードをスキャンして、タッチパネルで支払い方法を選べば会計がすぐに終わります。店員さんとの煩わしいやりとりもなくてとっても便利!

……のはずなんですが、前述のファミマを含めて自分以外の人間がセルフレジを使っているところを見たことがないんですよね。もしかして、あのセルフレジは自分にしか見えない妖精さんみたいなレジなのか?

もちろん、そんなことはあるはずもなく、多くの人はセルフレジがあることを認知しているはずです。だってカウンターの端っこに余分な領域があることは見ればすぐに分かるし、「セルフレジ」とでかでかと書かれているので文字が読めればそれが何なのかわかるはずです

今日、セブンイレブンに食べ物を買いに行っていたらレジの前に大行列ができていました。行列の後ろに並んでレジの方を見てみると、レジ中で店員さんが2人慌ただしく作業しています。そして、その隣に暇そうにしているセルフレジくん。セルフレジは仕事をさせてもらえず干されていました。かわいそう

なぜセルフレジはこんなに人気がないのでしょうか? 商品のバーコードをスキャンする作業がそんなにも煩わしいのでしょうか。コンビニの場合、お弁当の温めを店員さんにしてもらいたかったり、ホットスナックを買いたかったり、カウンター中のタバコ買いたかったりなどそれなりにセルフではないレジを使いたい場面が存在するのはわかります。ただし、列に並んで観察していた限り、セルフレジでも済ませられるような会計をあえて有人レジで行っている人が多かった印象です

セルフレジが使われない理由、それは「今までと同じでいい」と多くの人が思っているからではないからでしょうか。セルフレジのサービスというのは有人レジのサービスと同等のサービスを提供しています。正確に言えば、扱えるサービスの種類は有人のレジのほうが多いのでセルフレジのサービスは有人レジの下位互換です。セルフレジに「すみません。トイレ使わせてください」って言っても答えは返ってきませんね

(セルフレジが優れている点もあります。例えば店員さんの「袋つけますか?」攻撃を回避することができるなどがあります。ただし、これは自分のような弱男向けのメリットであって、コミュニケーションスキルの高い一般人にとってはそれをメリットだとは感じないでしょう)

扱えるサービスが多い有人レジとセルフレジ、2つあるならば今までと同じ有人レジのほうがよい。そう思って多くの人は有人レジのほうに引き寄せられるのだと推測しています

そもそも、セルフレジの最大のメリットは顧客側にあるのではなく、店舗側にあります。セルフレジがあれば理論的には会計役の人間が1人少なくても店舗の運営が行えるわけですから、店舗の人件費削減につながります。なので店舗側はセルフレジを普及させたい。しかし、客側には直接的なメリットはあまりないのでお客さんはセルフレジに魅力を感じないわけです

とはいえ、です。「セルフレジ」と書かれたレジがあったら、使ってみたいとは思わないのでしょうか。自分が新しいもの好きな性格なだけかもしれませんが、なんだかよくわかんないものがあったら試してみたいとは思いませんか? お客視点で有人レジvsセルフレジの討論を行ったら有人レジの方に軍配が上がるのはわかりますが、セルフレジならではの体験もあるのです。セブンイレブンのセルフレジはレスポンスが早いので自分でバーコード読み取って電子マネーで即決済したときの「速さ」は気持ちがいいです。NFC対応しているスマホを使ってスマホで決済すれば更に速い

少し疑問に思うのはセルフレジっていうほどそんなに新しいサービスでもないということです。前住んでいたファミマにも導入されていたぐらいですから、2~3年前ぐらいにはかなり普及していたのでは?

新しいサービスって一度その人から「興味なし」判定されてしまうと、その人の意識から消えてしまうんですよね。行列のときにセルフレジが使われていなかったのもそのためでしょう。興味を持たれなくなったセルフレジはその人の視界から消えて「透明化」するのです

さて、ではセルフレジを普及させるにはどうしたらいいでしょう……? セルフレジをゲーミングPCみたいに虹色に光らせるとか、スーパーの「呼び込みくん」みたいなのを設置してけたたましい音を鳴らすとか、考えられることは色々あるんですがうまくいく未来が見えません。場合によってはクレームが来てしまいそうです

結局、問題の本質は古いシステムと新しいシステムが並行して動いているということにあると思います。今まで使ってきたものと新しいものが2つあって、今まで使ってきたものが今まで使ってきた方法で使えるならば、人は古い方を使うのです

だから、(当然といえば当然ですが)新しいサービスを普及させたいのだったら古いサービスを打ち切ればいいわけですね。いきなり打ち切るのは難しいのでどんどん縮小させていくことが現実的な落としどころでしょう

(話はそれますが)その意味で言えば、今年の前半に話題になっていたマイナンバーカードと保険証の一体化で紙の保険証の廃止を決めたのは英断でしたね。紙の保険証の運用を残しておけば、今まで通り紙の保険証を使い続ける人が大勢を占めるに決まってます

なので、セルフレジの「見える化」をするために、コンビニ各社は深夜の時間帯などにセルフレジオンリータイムでも設けてみたらどうでしょうか。ローソンは温めサービスもセルフになっていますし、書いていてなんか行ける気がしてきました

これをサービスの改悪と捉える人もいるかもしれませんが、セルフレジって世間で忌み嫌われているほど不便ではありません。慣れてしまえばやりとりがない分早く会計を済ませられます

そもそも人件費は商品の価格に転嫁されるわけですから、人材難の中で有人レジにこだわり続けても有人レジの維持にかかる人件費はコンビニの商品の価格に組み込まれるだけなのです

ということで、コンビニ各社は有人レジのサービスを縮小していき、もっと無人レジのサービスを拡大していこう! という文章でした。ノーモア人の温かみ