『逆転裁判456 王泥喜セレクション』で逆転裁判4のプレイ感想 懲役17年を経てやっと純粋にプレイできた感じ

逆転裁判4 | ニンテンドー3DS | 任天堂

『逆転裁判456 王泥喜セレクション』を購入しました

逆転裁判6をプレイしたあと、せっかくだから新主人公の王泥喜法介くんの初登場作品となる逆転裁判4の方もプレイしてみました

逆転裁判4はニンテンドーDSで一度プレイしたことがあります。発売してからしばらくしてからのプレイでしたが、内容はあんまり覚えていませんでした

なので(?)、今回改めて逆転裁判4をプレイしてみてもわりと新鮮に楽しめました。一番良かったのは、携帯機では解像度の関係で潰れてしまっていた絵が『逆転裁判456 王泥喜セレクション』ではフルスクリーンで表示しても耐えうる高解像度になっていること

オドロキくん、みぬきちゃんを始めとする個性豊かなキャラクターたちの絵がとにかくきれい! 大画面で動いている彼らを見れただけでもプレイの価値ありでした

肝心のゲームの内容に関してですが、「あれ? 普通に面白いな」という感じでした。自分がプレイしたのは発売直後ではないですが、当時は「駄作の逆転裁判4を許すな!」という空気がインターネット中心に色濃く漂っている状態で、内容を楽しむというより「どれどれ、ほんとに酷い作品なのかちょっと確かめてみるか」みたいな感じでプレイしていたので厳しい目で見てしまっていたのかもしれません。今回の2回目のプレイは1回目のプレイ時よりずっと気楽に楽しめました

オリジナルの逆転裁判4の発売は2007年。17年の時が逆転裁判4に対するファンの拒絶反応を徐々に和らげてくれたのかもしれません。10年以上経ってやっと逆転裁判4の本当の姿を見れた感じがします

以下ネタバレありの感想です

 

 

逆転裁判4でバッシングの対象になった一番の要因は(記憶が正しければ)前作まで主人公だった成歩堂龍一の変わり果てたキャラクター(通称ダルホドくん)と謎解き要素の矛盾点(というか謎にまつわる登場人物たちの意味不明な行動)だと記憶しています

ナルホドくんの変わりように関しては、確かに物語の節々で「ん?」と感じることがありました。特に何かと証拠を軽視する感じは「元とはいえ弁護士資格持ってた人物としてどうなの?」と感じることはあります

ただし、逆転裁判4では成歩堂龍一をそういう「危うさ」を持ったミステリアスなキャラクターとして描きたかったという制作側の意図があったのは伝わってきました。敵か味方かよくわからないキャラになっているからこそ、第1話でナルホドくんが弁護側の席に立って追求し始めたときに「おお!」と感じられたのです

第1話、第2話ではナルホドくんの気だるい感じがうまく機能していたのですが、最終話ではその感じが裏目に出てた気がします。話の構成上、色々すっ飛ばしてナルホドくんが最短ルートで真相までたどり着いていくので「ナルホドくんすごい!」というより結論ありきの予定調和につきあわされている感じがして首をかしげたくなります

謎解き要素の粗については、よくよく考えてみるとシリーズ全般に言えることなんじゃないかとは思います。警察の捜査がざるすぎるし、警備もざるだし、建物の構造も変だし、証言台に立つ人間が無意味に嘘つきすぎだし……

気になったのは第3話「逆転のセレナード」ですかね。謎をすべて解いてもまだ事件の全容がうまくわからないです

犯人はガリューウェーブのギタリストの眉月大庵で、事件が起きたのはラミロアさんがバラードを歌うライブの第2部です。被害者のレタス氏が殺された時間の偽装がこの事件のトリックのミソとなっています

なのですが、犯人の決め手となるのは共犯者のマキ・トバーユの自白になり、マキ・トバーユは犯行現場にはいなかったので現場で実際にどんなことが起きたかは全くわかっていません

犯行現場のラミロアさんの楽屋には大きな弾痕が2発ありましたが、なぜ2発なのかの詳細は不明。もやもやします

犯行に使われた拳銃はレタス氏のものなので眉月大庵はレタス氏から銃を奪ったはずですが、その割には現場にはもみ合いになった形跡がありません

そもそも、もみ合いになったならレタス氏は相手の姿を見ているはずで、それならば死に際に「目撃者は……めがみ……」なんていう意味深な言葉を伝えずに「ダイアン!」か名前がわからなければ「リーゼントヘア!」と伝えればよかったのです。目が見えなかったのは実はレタス氏だったりして

更にいうと、犯行が起きた時点がライブの第2部になったことによりレタス氏が実際に撃たれてから死ぬまでの時間が当初の想定より長くなったのですが、ということはあのおっさんは瀕死の状態でずっとラミロアさんの楽屋に放置されていたわけです。その間誰も彼の存在を気にせず、彼自身も何もせず。銃を奪われてもじっとしていたことからレタス氏は実は図体のでかいお人形さんだったんじゃないでしょうか。オドロキくんが楽屋に飛び込んできたときに都合よく死ぬタイマー付きです

その他、眉月大庵が動きすぎなのも気になります。彼は輸入禁止の繭の密輸を実行した上、ライブの当日に牙琉検事の鍵を盗み、密輸を暴こうとしたレタス氏を殺害し、共犯者にギターを燃やすように指示を出し、現場に爆竹の罠を仕掛け、死体が発見されたあとこっそり現場に戻ってレタス氏とマキをステージに運び、1日目の裁判が終わったあと暗闇に乗じてラミロアさんを襲撃する。密輸、窃盗、殺人、器物損壊、証拠隠滅、殺人未遂、偽証……刑事のはずなのにどれだけ罪を重ねれば済むのでしょうか? 思考回路があまりにも犯罪者すぎます。ブレーキがぶっ壊れたスポーツカーみたい

と、悪かった点を連ねていくと愚痴っぽくなっていくので良かった点を書きます

プレイして一番驚いたのが第1話の出来栄えです

逆転裁判の1話目というと操作方法やゲームの流れを説明していくための事件であまり印象に残らないものが多いのですが、逆転裁判4の第1話は話の展開が良くできていると感じました

ナルホドくんの変わりようとオドロキくんの初々しさが「この事件どうなるんだろう?」感を高めていてよかったです。まさに「新章開廷!」な感じで改めてプレイしていても新鮮でした。オドロキくんが新しい力に目覚めていく感じ、わくわくしました

あと、上でも少し述べましたが、ナルホドくんが弁護席に立ったときの頼もしさもぐっと来ました。真犯人の牙琉霧人が正体を明かし、最後にナルホドくんがなぜ弁護士を辞めなくてはいけなかったかの謎を残して終わる。物語の導入としては完璧に近いんじゃないでしょうか

続く2話もみぬきちゃんとオドロキくんのキャラクターを掘り下げながら、逆転裁判っぽいいつもの感じで事件が進んでいってよい中継ぎだったと思います。証人の河津京作とかナイスキャラクターだと思います

そう考えると、逆転裁判4は前半はいい感じでできていたのに3話からの後半で調子を崩してしまった作品なのかなと思いました。いや、4話目も最初の裁判まではいい感じだったのですが、MASONシステムがでてきてから「なにこれ?」でしたね

牙琉霧人弁護士は個人的にはこいつでスピンオフ作って欲しいぐらい好きです

やることなす事すべて裏目に出ているドジっ子なのに、作中ではなぜか大物扱いされている謎の人物。弟子のオドロキくんや弟の牙琉検事から密かに馬鹿にされているのではないか説すらあります

1話目で披露してくれる言わなきゃバレないのについついカッコつけて言ってしまった失言ポエムや4話目で明らかになる独房貴族っぷりとナルホドくんに因縁つける事になったしょぼい動機。俯瞰視点で見てみるとこの人の行動は何から何まで回りくどくて面白いです

以下は牙琉霧人様の語録です

最初の失言。言わんでいいことをべらべら言う。シンプルにおバカです

(時系列的にはこっちのほうが先だけど)次に出てくる失言。独房の中で「なんであのとき俺、かっこつけたんだろ……」と後悔する程度の失言

見抜くシステムに一石を投じる牙琉弁護士。確かにそうではありますが……

自分が捏造した証拠品をさも他人事かのように嘘をつく牙琉弁護士。このポーズのときは彼は緊張しています

弟子が困っているのを喜ぶ牙琉弁護士。師匠がこんな人間であるオドロキくんの心境やいかに

経験者は語る。失言が原因で檻に入れられた人物からの忠告は重いです

弟に追い詰められると露骨に焦る牙琉弁護士

うさん臭いのはどっちだ!?

或真敷に呪われたことを自白する牙琉弁護士。彼もまた、意味不明な行動を繰り返す或真敷一座の被害者でした

動機はプライド。犯罪を犯すことのほうが恥ずかしいよ

証拠がないと喜ぶ牙琉弁護士。本当は図星

シンプルに嘘

投獄中の人物のセリフか……?

状況が悪くなってきたら焦る

追い詰められると刑務所に帰りたくなる牙琉弁護士

最初からそれができていれば……!!

急に裁判員を煽り散らかす牙琉弁護士

そして、すぐにそれがバレてしまう。もはや絶句です

唐突な責任転嫁

締めは牙琉検事。笑っててもおかしくないです

牙琉弁護士は続くシリーズ作品の5,6ではその存在すら触れられないタブー的な存在になってしまいました。しかし、手の傷や黒いサイコ・ロックなど、回収されていない設定が残っている人物です。うーん、この謎、解きたいなぁ。もう一度、霧人くんのみっともない姿がみたいなぁ

最後はネタっぽい感じになってしまいましたが、自分の記憶にある逆転裁判4よりずっと楽しめましたという報告です

というわけで、逆転裁判4を再びプレイしてみた感想でした