『逆転検事1&2 御剣セレクション』 逆転検事1のプレイ感想 それにしても忙しすぎないか?

9/6に『逆転検事1&2 御剣セレクション』が発売され、現行の家庭用ゲーム機やSteamなどで逆転検事がプレイできるようになりました

「逆転検事」は弁護士である成歩堂龍一を主人公とする法廷アドベンチャーゲームの「逆転裁判」のスピンオフ作品で、成歩堂のライバル的存在である御剣怜侍を主役としたシリーズです

「逆転検事」では御剣は法廷外で事件に巻き込まれ、探偵役として現場で推理を行い、そのまま犯人と対決します

とはいえ、証言を聞いて、ムジュンに対して証拠品を突きつけて真相を明らかにしていくという流れは本家の「逆転裁判」と全く一緒。スピンオフですが「逆転裁判」シリーズをプレイしたことがあるかたならほぼ違和感なく楽しめる形になっています

『逆転検事1&2 御剣セレクション』には追加エピソードなどはなく基本的に過去作をそのまま収録した内容です。その点で一度プレイした人にはちょっと物足りない、と思うかもしれませんが……

『逆転検事1&2 御剣セレクション』の優れているところは、もともと携帯機(ニンテンドーDS)向けだった作品を大画面でも耐えうる品質にしたところ

具体的にはドット絵で表現されていたキャラクターたちの絵が美麗なフルHDのグラフィックでリマスターしています

もともとのドット絵だとモザイク画のように見えてしまう御剣も最新バージョンだとくっきりはっきり綺麗に動きます。動きがあると本当に丁寧に収録しなおしていることがわかります。あっぱれ

また、物語を彩るBGMも一部リマスターした豪華なものに差し替わっています。素材の良さを損なわないように丁寧に作り直されていることがわかります(あと、チャプターごとにやり直せるようになっている仕様も地味に嬉しい)

肝心のプレイの内容ですが……、アドベンチャーゲームではネタバレ≒死なのでまだ詳しくは述べません(ネタバレありの部分は記事の下の方に書きます)。『逆転検事』は全部で5話で構成されているのですが、面白い順に並べていくとするなら「2>4>1>3>5」って感じでしょうか

逆転検事ならではの可愛いキャラクターもでてきます。今作のヒロインは「一条三雲」という女子高生ドロボウ(?)。冷静沈着な御剣とは対象的に画面の中でよく動いてくれて気持ちを和ませてくれます

↑の画像の「私だ!」って感じのポーズがいちいち可愛かったですね。その他に飛び跳ねたり、キョロキョロしたりします

『逆転裁判』の本編はプレイしたことはあるけど、スピンオフの『逆転検事』は存在を知りつつもプレイしたことはなかった、という人多いのではないでしょうか(自分もその一人でした)

この機会に、御剣の物語を見届けるのも悪くないかもしれないです!

 

 

というわけでここからはネタバレありの感想です

 

まず、第一に、『逆転裁判』シリーズにおける『逆転検事』の立ち位置から説明します

『逆転検事』が発売されたのは、ファンから総スカンを食らってしまった『逆転裁判4』のあとの話。主人公交代を目玉に「新章開廷!」しようとしたら、悪評が絶えなくなったために続編を出すのがためらわれる状態になってしまいました(今、プレイしてみるとそこまで悪い内容ではないのですが、当時はシリーズの中で”名前を言ってはいけない”ような作品になっていました)

本家である『逆転裁判』シリーズの続編が出せない……。しかし、『逆転裁判』シリーズの作品は作りたい。このジレンマから生み出されたであろうシリーズが『逆転検事』です

ナルホドくんと並ぶ人気を誇る御剣検事を主役に据えれば「4」の出来事を全く無視して『逆転裁判』を作ることができちまうのです

「4」でファンに対する裏切り(?)をしてしまったという反省からか、『逆転検事1』ではこれでもかというぐらいに過去作のキャラクターを再登場させるファンサービスが見られます。ちょっと「くどい」と感じるぐらいです

そのため、ちょっとオリジナリティに欠けるような部分はあるもののテイストとしては『逆転裁判』そのものでした

不満があるとすれば、トリックやムジュンの指摘について、でしょうか

『逆転検事1』では全編を通じて驚きのあるトリックは少なかったように思います。密室のトリックや死体移動のトリックが使われていますが、なんというか「しょぼい」感じです

また、「証拠品を集める」捜査パートと「証人尋問を行う」裁判パートで明確に分かれている本家の逆転裁判とは違って、捜査と尋問の垣根が曖昧なので、手に入れた証拠をすぐに「つきつける」ような箇所が何回かありご都合主義的に感じた部分もあります

各話の感想を述べていきます

第1話はゲームシステムの導入を兼ねた説明用のお話です。御剣検事が執務室に帰ってきたら部屋に死体が転がっていた、という事件

須々木マコが再登場します。シリーズの中でも結構好きです、この人。

「そんな、警備員みたいなことしてないッス!」のくだりが地味に面白かったです。逆転裁判シリーズは失職したあとに警備員になるキャラ多くないですか?

第2話は飛行機の上で起きる殺人事件の話。すげぇ格好のCAが出てきます

もう一人のCAさんも「真面目だけど美的センスは壊滅的」というキャラが面白かったです。だんだん魅力的に見えてくるキャラでしたね

『逆転検事1』で一番オリジナリティが高いのがこの話なんじゃないでしょうか。

犯人の決め手となったのが「ボルジニア語で説明が書かれた貨物に入っている布を証拠隠滅に使用したから犯人はボルジニア語が読める人だ」というものでしたが、ここの展開は強引な気がしました

3話目は誘拐事件の話。ヒロインの三雲とライバルのロウ刑事がやっとここで登場します

過去作のキャラクターがてんこ盛りな話だと感じました。ちょっと「内輪のノリ」感が強かったです

追求の途中で登場するこの一枚絵が好きです。誘拐は狂言だったのですが、狂言といえども犯人たちにとっては大変だったことがわかるような絵です。なんだかんだ言ってこいつらは仲いいですよね

左利きのくだりが全然わからずに何度もゲームオーバーになりながら総当りで突破しました

第4話は御剣検事、糸鋸刑事と三雲ちゃんの馴れ初めが語られる過去の話。後付け設定であることは誰もがわかっていますが、言わないのがお約束

13歳の狩魔冥が登場します。このとき狩魔豪は60歳。ということは冥は狩魔豪が47歳のときに生まれた子供です。47のときの子どもなん? めっちゃエロいやん

どら焼きのくだりがとても印象に残っています。おっさんと小さい女の子の組み合わせって定番ですけど、やっぱりいいですね。糸鋸刑事の純朴な感じがエピソードの良さを引き立ててます

第一話から引っ張ってきたヤタガラス関連の秘密が徐々に明らかになっていくのがこの回。といっても、「なんとなく予想できてた」感じだったので、特に驚きはないです

最後の第5話は大使館という特殊な舞台で起きる殺人事件。文字通り国をまたいだお話になっていてスケールがでかいです

長かったわりにはあんまり印象に残らなかった話です。

真犯人である「なんとか国(重要なのに国名覚えてない)大使」が正体を表したあと、服に付けている勲章をきらきらさせる絵が使われます

その後、きらきらした勲章が映り込んだ写真が証拠品に加えられ、「このきらきらした勲章を持っているのはこいつだけだから、こいつが怪しい」となるくだりがあるのですが、いろいろな意味で「もうちょい頑張れよ」とは思いました

最後は意地でも容疑を認めない犯人に対してみんなで「待った!」をして追い詰めていきます。おばちゃんの「待った!」が一番意外でした。役に立つこともあるのね、この人

間違いだらけの推理で株を下げ続けていたロウ捜査官にも最後の最後でかっこよい場面が訪れます。微妙なキャラだなと思っていましたが、ちょっと愛着湧きました。ムジュンを指摘したときに「ウォォォォン!」って吠えるのもよろしい

最後に……逆転裁判5では過去の事件も含めて6つの殺人事件が扱われますが、そのうち4つの事件はたった4日間の間におきたもの。しかも、いずれも御剣検事の周囲で起きています

御剣検事の本来の職務は「検察官」であるわけで、裁判に関する業務を行っていない=休暇なわけです。ただでさえ忙しい検察が、休暇の間に立て続けに殺人事件に巻き込まれ、真相究明のために現場を歩き回る……。制作陣は御剣検事を過労死させるつもりなのでしょうか

フルHDで物語に没頭できた逆転検事1。続編の逆転検事2のプレイも楽しみです