皆さん、ウスターソースやマヨネーズに代表される洋物調味料の語源をご存じですか?
ウスター男爵? マヨネーズ婦人? 残念。不正解です。サンドウィッチ伯爵みたいな都合のいい人物はなかなか現れませんよ。実はどちらも地名なのです。
ウスターソースはイギリスのウスターシャ地方に住む主婦が野菜やスパイスを壺に付け込んでいたところ、いい感じに混ざっておいしいソースができたことがその起源だそうです。発見地であるウスターシャという地名からウスターソースと名付けられました。
マヨネーズはスペインのマルノカ島の港町であるマヨンにその由来があります。マヨンの料理店で提供されていたソースに感銘を受けたフランス貴族のリシュリュー公爵が広めたそうです。
ウスターソースはイギリス生まれで、マヨネーズはスペイン生まれ、フランス育ちというわけですね。
それでは、次の問題。マスタードの起源と由来は?
ドイツのマスタード地方? ぶぶー。これは地名じゃないんですね。引っかかるように誘導してみました。ムカつきましたか? 俺を殺そうとしないでください。
マスタードの起源は、なんと今からはるか昔、古代エジプトまでさかのぼることができます。
マスタードの原料となるカラシナは中近東または中央アジアにルーツを持つ食物で、人間がちゃんと使用していたという物的証拠が残っているのが古代エジプトの遺跡から出土したことからエジプトで使われていたのが最初とされているようですね。聖書にもからしに関する例えがあったり(『からし種一粒の信仰~』)、ギリシアでは医薬品として使われていたりとマスタードははるか昔から人間の文化に取り入られていたことがわかります。
マスタードの語源はラテン語の"mustum ardens"。"mustum"が「ワイン」の果醪(マスト)、"ardens"が「燃えるような」の意味だそうです。果醪というのがなんなのかわからなかったので調べてみると、以下のような画像が見つかりました。こんな感じです。
ワインはこのように造られる!赤ワインの醸造方法とは? | エノテカ - ワインの読み物
ローマではブドウ果汁と混ぜたものが調味料として使われることもあったそうで、その名残で"mustum"が残っているとか。
超長い前説になってしまいましたが、いよいよハニーマスタードのお話です。ぴりっと辛い風味が特徴のマスタードとはちみつを組み合わせた調味料です。
!!! 日本の食材でいえば、わさびにあんこを混ぜるみたいな狂気の発想です。絶対においしくならなそうなのに……おいしい!
はちみつのまろやかさとマスタードの攻撃力。これが絶妙なハーモニーを作り出すんですね。こんな天才的な組み合わせ、いったいどうやって生まれたのでしょうか。
日本語での記事が全く見つからなかったので、英語の記事からの紹介です。以下のサイトの記述によると、はちみつとマスタードの組み合わせはすでに古代ローマ時代から人気で、焼いたイノシシ肉に塗って食べられていたそうです。古代人賢い!
時代ははるか下り、1970年代。アメリカ合衆国ロサンゼルスの"Orange Hill"というお店がドレッシングにハニーマスタードを使用したサラダを提供し、これが人気となり、複数のメディアに取り上げられます。
(ただし、上の情報はこのサイトでしか書かれていなかったので眉唾かもしれません)
このことが由来してなのかは知りませんが、ハニーマスタードといえばなんとなくアメリカというイメージがあります。
ちなみに、本記事を書こうと調べているうちに偶然見つけたのですが、現在アメリカで猛威を振るっているハニーマスタードは「Chick-fil-A」と呼ばれるファストフード店で提供されるChick-fil-Aソースだそうです。
アメリカ在住の方のブログによると、「めちゃウマ」「この世にこんな美味しいソースがあるのか!」とのこと
Chick-fil-Aは米国ではマクドナルド、スターバックスに次ぐチェーン店であることから、このソースのうまさは全米を震わせていること間違いなしです。
締まりのない感じになってしまいました。まとめにはなっていませんが、調べてみた結果としてはハニーマスタードは古くからあるのにも関わらず謎が多い調味料だということがわかりました。かなりポテンシャルのある調味料だと思います。
日本でははちみつとマスタードのほかに醤油を入れたアレンジのレシピをよく見ますよ!!