国民民主党の玉木雄一郎代表が不倫をしていたと「SmartFlash」が報じました。先の衆議院選挙の比例代表で「国民民主党」に投票した一有権者としてがっかりです
この記事の発表を受けて、玉木さんは会見を開きました。「個人的な問題で多くの皆さんにご迷惑をかけた。心からお詫びを申し上げたい。許してもらえないかもしれないが、謝り続けていきたい」とのことです。経緯を説明する会見を開き、事実を認めたうえで謝罪した対応は事後対応として評価できると思います
SNS上だと「不倫なんて家庭内の問題だから関係ない!」「それよりも103万の壁の引き上げ頑張ってくれ!」という声が目立ちます。玉木さんが不倫をしてようが、してまいが労働者の手取りは増えないですからね。国民民主党が政策を実現すれば確実に手取りは増えます
ゴシップネタで玉木雄一郎氏潰しか。ハニートラップか知らんけど騙されるのもアホ。しょうもないスキャンダルでしか叩けない週刊文春もクソ。日本変えてくれる人を不倫一つで潰せれる訳ない。不倫より裏金議員の方がよっぽど悪いからな。負けるな玉木!!
— 桓騎将軍 (@kankigun00) November 11, 2024
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とはいえ、このスキャンダルを受けて「玉木さん、頑張れ!」の結論に至るのは良くない傾向だと思います。政策本位であったはずの国民民主党が、玉木さんの政党になりつつあるのではないかと不安を覚えました
玉木雄一郎氏に関するスキャンダル報道で有権者が「はぁ〜、玉木さんにはがっかりしました…」じゃなくて「やっぱり来たか財務省!国民の敵!いつか必ずぶっ潰す!」になってるの面白過ぎるでしょ。
— mmr (@mm1802) November 11, 2024
特に「減税を唱えた玉木さんは財務省と闘っている」という陰謀論的な世界観が国民民主党の支持者の間で広がっていることには強い懸念を抱きます。今回のスキャンダルを受けて根拠もなく「財務省、やってくれたな!」と反応してしまうのは危険な兆候です。財務省がグラビアアイドルに声をかけて、玉木さんをたぶらすように指示して、光文社にそれをすっぱぬくよう耳打ちしたのでしょうか。中央官庁に勤める役人たちはそこまで暇ではありません
国民民主党の良い点は「日本が成長できないのは自民党/財務省/統一教会/裏金議員のせいだ!」という耳障りがいい批判的主張を行わずに、「日本の現状を解決するにまずは103万円の壁を引き上げて手取りを増やしましょう」という具体的な解決案を提示したことにあると思います。党がキャッチフレーズとして掲げている「対決より解決」はそういう文脈で出てきた言葉です
その意味で、今回のスキャンダルを「玉木さんの失敗」ではなく「敵側の工作」と認識してしまうのは安易な考えだと思います。もちろん、国民民主党の関係者はそんなこと一切言ってはいないし、言ったら幻滅なのですけど……
だからこそ、今回のスキャンダルを受けて玉木さんが「何のお咎めなし」なのはどうなのよ、と思います。不倫は家庭内の問題だから外野がとやかく言うな、という主張には一理あると思いますし、それを胸を張って主張するならば不愉快に思うよりもむしろ潔いと思います
(ちなみに自分は不倫は家庭内の問題という風潮には反対です。自分のために身近な人に嘘をつき、世間体を気にして事実を隠そうとするのが不倫です。政治家は言葉に責任を持つべきです。自分の最も身近にいる奥さんを騙していた人物が国民を騙さない人物だとどうして言えるでしょうか)
不倫は悪くないと主張するならお咎めなしでも問題ないかもしれないですが、玉木さんは会見の中で明確に謝罪をしているわけです。「悪いことをした」と本人が認識しているのでればどうやって責任を取るかは政治家にとって重要な問題です。党の代表の不祥事であれば政党全体の問題でもあります
今回の対応を見て、対応が早いのはよいことだ、と思う反面、意思決定が早すぎるようにも思えました。党の内部で玉木さんを批判する声はなかったのでしょうか。「私が代表するので玉木さんは後ろに引いててください」ぐらいの圧力があったほうが党の中で緊張関係があってよいと思います
2024年現在、日本には10の国政政党があります。新しく登場した政党、「れいわ新選組」「参政党」「日本保守党」の人気の秘訣は党首(山本太郎さん、神谷宗幣さん、百田尚樹さん)のカリスマ性にあります
不祥事を受けてすぐさま「お咎めなし」の判断をした国民民主党は、いつの間にかに政策政党からカリスマ政党に変わりつつあるのではないか、と懸念を抱きました。党が玉木さんに依存しすぎているために、彼を批判できなくなりつつある……。「玉木さんだから許してよ」という内輪のノリは支持者でもなんでもない人たちから見てみると理解不能で薄ら寒いとしか思われません
涙をちらつかせた会見やスキャンダルが出た当日夜の演説を聞いていると「この人たち、熱量で押し切ろうとしてないか」と思うのです。ピンチのときに人柄が出るとはよく言いますが、これまでの対応を見る限り、玉木さんは「理屈」ではなく「人情」で乗り切ろうとしている。それはカリスマ政党のやることであって、政策政党のやることじゃないな、と感じました。そして、その傾向を助長させてしまうであろう玉木さんの周囲の優しさは害悪にしかならないと感じます。少なくとも、ここで彼にかける言葉が「頑張れ」はありえないでしょう。不倫がバレて、何を頑張るのでしょうか?
「103万円の壁の引き上げができなかったら、議員バッチを外して代表を辞職する」ぐらい言えなかったのでしょうか。言い方は巧みですが、要するに「ごめんなさい。もっと頑張ります」という趣旨の何のリスクも負わない謝罪しかしていません。これは地盤が安定してきた政治家が好む保身の仕草そのものです。許される雰囲気になっているのは「彼が人気だから」以外の説明ができません
そもそも、国民民主党はまだ何も実現していないのです。先の衆議院選挙では「何かやってくれそう」という期待感で急浮上した政党です。「何もできない」が続けば泡のような期待感はぱちんと弾けて一気に地獄が待ち構えています
結論を書くと今回の騒動の対応で国民民主党の「選挙で勝ったことで浮かれている感」が見えちゃって残念だな、と思いました。次の参院選でも躍進しそうと思っていましたが、党首の人気に甘えている限りこの政党の寿命は意外に短命そうだ、と感じた事件となりました