2024/06/21に発売されたエルデンリングのDLC『SHADOW OF THE ERDTREE』をプレイしました。オリジナルが発売されてから2年経過して発売されるDLCという異例のDLCで、2年という歳月に負けないぐらいの大ボリュームのDLCとなっていました
結論としては本編に勝るとも劣らないとても優良な出来に仕上がっていました。発売日から3日ぐらいは寝不足になって、仕事に支障をきたさないためにセルフでプレイ禁止にしたぐらいにはハマりました
ちなみに自分はSteamでプレイしていました
2024/07/01時点でのsteamの評価は「やや好評」。Steamのゲーム評価で「やや好評」はそこまで高くない部類の評価です。夢中になってプレイしていた自分的にはDLCのこの出来でこの評価は厳しすぎる気もします。もちろん、明確によくないと思えるような箇所があるのはわかるので手放しで称賛できるものではないですが、それでも全体的な完成度は高いと思います
不評の原因は主に「難易度」や「アイテム配置」について。ほぼエンドコンテンツである本DLCは難易度が高めに設定されています。特にステージの最後に待ち受けているボスが強めに作られているのでここらへんで理不尽に感じた人は「良くないゲームだ」と感じたのでしょう
というわけでここからはネタバレ有りの感想です
ネタバレ有りの感想
今回のDLCで最も多くの不評を買っているのはラスボスであるラダーンくんでしょう。自分もプレイしていて面白いとは思いませんでした
体力が多く、長期戦を強いられる上に、一つ一つの攻撃のモーションが長い……。プレイヤーはラダーンが元気に動き回っている様子をじっと観察されることを要求されます
体力が一定値以上減ると、ラダーンは第二形態になります。ミケラに守られ(?)、光の力を獲得するのですが、この形態変化も面白くない。剣撃のあとに空から光が降り注ぐ追加攻撃やよく見えない残像の効果音が迫真すぎるなんだかすごそうな攻撃が追加されます
個人的には光が強くて何がおきているのか見えなくなるのがストレスでした。「前が見えねぇ……」から「突然の死」が何度かあって、コントローラーを投げたくなりました
ラスボス前で手に入れた緑青の大盾で敵の攻撃を受け流しつつ、隙を見て流紋の大槌でちくちくと攻撃を入れていくスタイルで勝ちました。ただし、それだけだとどうしても火力不足だったので、大腐敗壺を使用して朱い腐敗でのスリップダメージを与えることによってダメージを稼ぎました。こうやって振り返ってみると、NPCのムーアのスタイルで勝利したと言えます。とってもしんどかったのでラダーンと再戦したいとは思いません
その他に不満だったボスは……特にないです。ボスの難易度の調整は割と妥当なラインに収まっているのではないかというのが自分の感想です。強すぎず、弱すぎず
調べてみると「宿将ガイウス」が評判悪いみたいです。確かに彼の突進攻撃は意地悪な性能だった記憶があります。自分は「避けれない」と割り切って大盾構えて防御してたのでめくり判定がない限りはダメージ0でした。霊馬に乗ってプレイするのが楽というコメントを見ましたが本当でしょうか? 騎馬戦って致命的に面白くないんだよなぁ……(そういえばドラゴンとの戦いも面白くなかったです)
DLCで最も評価できる点はそのボリュームとロケーションの多さでしょう。ちょっとした続編と言ってもいいほど影の地のマップは広大でした。エリアの接続も豊富で新しいエリアを開拓する喜びにあふれていました。青海岸に到着したときや迂回ルートを通って懲罰砦から影のアルターに到着した瞬間などはちょっと感動しました
影の地でのみ意味を持つ「影樹の破片」「霊灰」もプレイヤーの探索の強い動機となっていてよい作りだと感じました。敵やボスが強いと感じたら探索して新しいエリアを見つけて強くなるという選択肢が取れるからです。実際、少し戦ってみて「ちょっと厳しそうかな」と思ったボスでも他のエリアを進めて影樹の破片を集めてから再戦するとあっさりと倒せたみたいな場面がいくつかありました
ただし、アイテムに関しては少し不満もあります。意味もなく配置されているアイテムが多いように感じました。「鍛石」や「墓すずらん」のような強化アイテムは本編では大変有用なアイテムなのですが、エンドコンテンツであるDLCではほぼ無意味なアイテムとなっています。だって、すでに限界まで強化してるんだもん
なので、苦労してたどり着いた先のアイテムが……「じゃーん、鍛石でーす!!!!!」 だったりすると、がっかりします。「冷やかしかよ」とさえ思います。結局最後までなぜ鍛石がいっぱい落っこちていたのかはわからず……
戦っていて特に面白かったボスは「双月の騎士レラーナ」と「串刺し公メスメル」の2人です。どちらも難易度高めに作られているボスですが、慣れてくると対処法がわかってきて攻略のしがいがあるボスでした。勝てなさそうで勝てちゃう、絶妙なラインをいくボスでした
ラスボス前の針の騎士レダとその仲間たちとの連戦も面白い戦いでした。プレイヤーを絶対に通すまいというNPCキャラたちの想いが伝わる戦いで、このゲームにしては珍しくドラマチックなボスでした。出会ってきたNPCすべてと敵対するというアイデアも良かったですし、音楽も良かった気がします
自分の場合は2vs5の戦いになりました。仲間であるアンスバッハが死んだあとは、逃げまくって1人で近づいてきたやつを叩くという鬼ごっこ戦術で勝ちました。機動力が高い代わりに体力が低い角人さえ潰せればあとは持久戦に持ち込めます
難易度の高さで低評価がつけられている本作ですが、難易度が高いボス戦と探索要素(新しいエリアを見つける方法とか)とは裏腹に道中の攻略にはそこまで困りませんでした。というより、道中で死んだ記憶が殆どありません。強めの敵はいましたが、結果的にほぼすべてゴリ押せてしまったので苦戦したという印象はないです
そもそもマップに敵が固定で配置されていて、プレイヤーがそれを倒していくという形式だとこれ以上難易度を高くできないんじゃないでしょうか。どんなに大量に敵を配置したとしても「1体ずつおびき寄せて倒す」という方法で少しずつ数を減らしていけますし、仮にすべての敵を相手にしなければいけなくなったとしてもダッシュと遠距離攻撃を駆使して少しずつダメージを与えていくことができます
マップ全体を常に徘徊していて後ろからひっそりと殺しに来る暗殺者みたいな敵やプレイヤーのステータスやよく使う攻撃方法に応じて敵の装備や行動のパターンが変わるアクティブな仕組みがあっても面白いと思います。固定された敵って常に防戦一方で、配置さえわかってしまえばあとは好きにし放題です。シリーズを重ねるごとにプレイヤーのスキルも上昇していることですし、不確定要素がもっと多くてもよいのでは。実際、リアルに考えると宝箱の前でずっと待ちぼうけの騎士とか不自然ですしね。道のど真ん中に突っ立ってくるくると回転しているポケモントレーナーと同じでプレイヤーに倒されるために存在しているようなもんです。「もっと本気で殺しに来い!」と怒鳴りたくなります
思い返してみると、デモンズソウルから続く「ソウル」系統のゲームは高難易度のゲームと言われ続けてきました。しかし、当時あんなに「強い」「強い」と言われていたマンイーターも現在のプレイヤーからしてみるとそこまで苦戦するようなボスではありません。よくある複数ボスのうちの一つです。当時、デモンズソウルが高難易度と言われた背景にあるのは「攻略のセオリーがわからない!」というプレイヤーの困惑も含めたものだったのではないでしょうか。「ソウル」系統のシステムを継承したゲームが数多く発売された今日ではプレイヤーたちはセオリーを熟知していますから、その状態で難易度を高くしようとすると、シビアなタイミングでボタンを押すことを要求するものだったり、単純に長い時間をかけなければならないものに行き着いてしまうかもしれません。その意味で、「今回のDLCの難易度が高い」と言われているのはいい意味ではコンテンツが成熟してきた、悪い意味では限界が見えてきたとも捉えられるかもしれません
エルデンリングのDLCの発売をもって、現在公表されているフロム・ソフトウェア開発のゲームはすべて発売されました。おそらくフロム・ソフトウェアではいまもどこかの開発ラインが動いていて新作の開発が着々と進められているのでしょう。エルデンリング含めDLCの 『SHADOW OF THE ERDTREE』は間違いなくこれまでの集大成のようなゲームで、非常に面白いゲームに仕上がっていますが、1ファンとしては新しいゲームにこれまでのゲームとは全く異なった「新機軸」を期待したいです