皆さんは初めてプレイしたPCゲームを覚えているでしょうか?
自分が初めてプレイしたのは「Dead by Daylight」というゲームでした。当時の自分は大学4年生。そろそろ卒論書かなきゃ、と思いながらプレイしていたのを覚えています。キラーと卒論の締切、両方に追われていてハラハラドキドキな毎日でした
Steamの購入履歴を見てみると一番下のところにきっちりと「Dead by Daylight」の文字があります。購入したのは2016年6月24日。正式にリリースされてから10日後に購入しました。大学生ならゲームやってないでちゃんと勉強しろよ……って感じです
2024年現在では「Dead by Daylight」は日本含む多くの地域にローカライズされていますが、当時はそんな親切なものはありませんでした。ルールやパークの効果については把握していましたが、アドオンとかオファリングについてはほとんどわからないような状態でプレイしていました。このゲームの英語は独特に使われている用語が多いので機械的に翻訳してもいまいちピンと来ない文章になってしまうんですよね……。手探り感抜群でした
だから8年ぶりに久しぶりにゲームを起動して思ったことは「意味がわかる!」でした。日本語はちょっとできますから、よくわからないアドオンをつけてゲームに臨み、役に立ったのかそうではないのかよくわからないまま失っているということはなくなりました
キラーとサバイバーの種類の豊富さにも驚きました。自分がプレイしていた頃はキラーは「トラッパー」「レイス」「ヒルビリー」の3人、サバイバーは「ドワイト」「メグ」「モレル」「ジェイク」の4人のみでした。最弱認定されていたヒルビリー使っている人はほとんどいなかったので、キラーは「トラッパー」と「レイス」の実質2択でした。チェーンソーをブンブン鳴らして走り回っているヒルビリーを見ていると気分がほっこりしたものです
サバイバー側のネタ枠はドワイトでした。足が速いメグ、自分で回復できるモレル、フックを破壊しまくれるジェイクに比べるとパークの効果がぱっとしなかったのがその理由だと思います
2024年5月現在、キラーの種類は35体、サバイバーの種類は41人です。8年の歳月を経てなんと10倍以上の選択肢が増えました。キラーやサバイバーの中には有名なホラー映画やゲームなどとのコラボキャラクターも多く、ホラー界のスマブラみたいになりつつあります。ジャパニーズ・ホラーの傑作『リング』の貞子や『バイオハザード』のレオンやウェスカーがプレイできるのだからすごいです。発売当初、こんな風になるなんて想像していた人は一人もいなかったでしょう
ゲームのルールに関しては8年前とほぼ同じです。サバイバー側はキラーに見つからないように発電機を5台修理して、ゲートを開いて脱出するのが目的、キラーはサバイバーを2回攻撃したあと、フックに吊るして殺害すれば目的達成。細かな仕様に違いはあるものの、8年越しにプレイしても困惑することなくプレイできました
発売当初問題になっていたのが、「窓ハメ」と呼ばれる行為です。サバイバー側が逃げやすくするためにキラーは段差を乗り越える動作がサバイバーよりも遅く設定されているのですが、その仕様を利用して窓の周辺でぐるぐる追いかけっこを続けることにより延々と試合を引き伸ばすことができました。黄色いバスとか何かが吊り下げられてるサークルとか有名なスポットがいくつか思い浮かびます。うまいサバイバーだと本当に捕まらない
キラー側で主にプレイしている人たちは不満の声を挙げていましたが、サバイバー専門の人達からは「プレイングの範疇だ」と主張する声もありました。理論的には永遠に逃げられる窓ハメですが、キラー側がフェイントを入れてサバイバーの操作ミスを誘ったり、トラッパーを選択して罠を仕掛けたりすればループを脱することができるので無理くり擁護することはできました。一人のサバイバーのみを追いかけなければいけない義理はないですしね。ただし、普通に見ればシステムの穴をついた「グリッチ」の類であることは明らかでした。「アドレナリン」で加速して窓ハメスポットに逃げて、煽られまくったことがある人なら絶対にあれは「許すまじ」となったでしょう
実際、窓ハメスポットは自分がプレイしていた頃のかなり早い段階で運営側から潰されたのですが、窓でハメられること自体が今後のマップ追加時の開発の負担になると判断されたのか一定時間同じ窓を使用し続けると自動的にその窓が塞がれるという不自然すぎるグリッチ対策が導入されていました。運営側の怨念を感じます
自分がプレイしていた当時、記憶にある限りで思いつく「問題」はこの窓ハメと「キャンパー」の存在と「ファーミング」問題の3つです。
キャンパーはサバイバーを瀕死に追いやってフックに釣ったあと、そのサバイバーの前にずっと立ち尽くして救助できないようにする行為のことを指します。これに関しては先程の窓ハメと違って割と賛否両論だった気がします。自分は肯定派寄りでした。絶対に殺したいサバイバーがいる場合に「キラーがキャンプを行って確実に殺害できる」という仕様があるのはサバイバー側の緊張感を高めますし、キャンプをするとその間他のサバイバーの動きを牽制できないのでゲーム的にはキャンプはキラー側にとって強い選択肢ではありません。リスクを負ってまで1人のサバイバーを消すか、それとも救助されることを許容して他のサバイバーを狙うかはキラーの判断に任せるでいいんじゃないか、というのが自分の意見でした
サバイバー側の追加キャラクターのパークを見る限り、このキャンパー問題もある程度解決されているように思えます。キラーの攻撃を耐えることができるステータス「我慢」というものが追加されて救助したいけど救助できないという状況はサバイバー側の工夫でコントロールできるみたいです
残る「ファーミング」ですが、これは現在に至るまで解決されていないみたいですね。ファーミングは経験値稼ぎのことで、本来敵対しあうはずのキラーとサバイバーがスコア稼ぎのために談合して試合を成り立たせないことがありました。1つの試合で最大のスコアを叩き出すためにはキラーがサバイバーを長い間追い回して、何度もフックに吊り下げなければなりません。そのためには当然サバイバーがフックから仲間を救出することが必要となります。サバイバー側にしてみてもそれは同様でキラーに一度も見つからないより長い間キラーとのチェイスをしたほうが結果的にスコアが高くなる傾向にありました。このため、経験値稼ぎのためにキラーとサバイバーが手を組んで馴れ合いすることがありました。キラーに監視されながら発電機を回していたサバイバーをよく見かけたものです
発売当初のような形式のファーミングは残っていませんが、今日では「ドクター」というキラーを選択して放置プレイするというやり方で受け継がれているみたいです。試合をやれば少なからず経験値は稼げるので、適当にキャラを動かすマクロを組んで試合をしまくれば自動的に経験値が稼げるというものです。自分がプレイした数時間でも何回か遭遇しましたので結構な問題になっていると思います。プレイヤーが本気でプレイしているかを判断するってシステム側で判断するのは難しいですね。いつからこれが常態化しているかは不明ですが、運営側が把握しているけど解決方法がわからない問題の一つになっていそうです
あとは、脱出ゲートが開いたあとにサバイバーが好き放題できる問題。キラーはゴール付近にいるサバイバーを無駄に追いかけて放課後に教室を見回る先生よろしく「早く帰れ!」をやらなければならなかったのですが、脱出ゲートが開いてからの時間制限が導入されたことによりこの問題は緩和されました
8年の歳月を経て、当時問題となっていたことは概ね解決していそうでした。8年間も運営が続いているゲームなんて珍しいですし、8年後にプレイしてもまだ面白いのでDead by Daylightはゲームの核となる部分がとてもうまく作られているのだと思います
しかしながら、1vs4の鬼ごっこという単純なゲームだからこそ、コンテンツが「煮詰まっている」感じは否めません
特にキラーをやっていて痛感するのはサバイバーたちの動きがあまりにもプロじみていること……。最適解で動いているような感じなので太刀打ちしようがなく、追いかけても追いかけても追いつけませんでした(怒)。昔からキラーは「ボランティア要因」と呼ばれていましたが、まさにそんな感じです
これからキラーをやる人は謎の特殊能力を持つ超人サバイバーたちを倒さなければいけないわけで、その事実が殺人鬼よりもよっぽどホラーです。板をぶつけられたり懐中電灯で煽られたり散々ですね。「格ゲー間口狭くて初心者増えない問題」みたいな現象がおきているんじゃないかと予想します
なら、「キラーを強くすればいいじゃん」と思いがちですが、キラーが人気になってしまったらサバイバーが不足してしまいます。1vs4のような人数が非対称の対戦ゲームだと多い方の陣営が不足すると途端にゲームが成り立たなくなります。単純にキラーより4倍の人数のプレイヤーが必要ですからね
ゲームの仕様が決まっている以上、プレイヤー側の行動に最適な行動は存在します。発売当初は右も左もわからない状態で遊んでいたプレイヤーも8年も経てばそのことに気づくし、ネットに情報も出回ります。結果として既視感のある試合展開が多くなってしまう……。難しい問題です
久しぶりにやってみた結論としては、大まかなルールはおんなじで楽しめたけど、プレイヤーたちのレベルがあがってついていくのがしんどくなった、ですかね。オンラインゲームはよくわからない状態でやってるのが一番楽しい、と自分は思います
そういう意味では「Dead by Daylight part2」の発売を望むところですが予定はあるんでしょうか? それとも、このまま10周年まで突き進んでいく? どちらにせよ、長く続いて欲しいと思います