同志諸君、赤い国の赤い紙は好きですか?

今週のお題「赤いもの」秋から冬にかけて紅葉やクリスマス、お正月など各種イベントで街に赤色があふれてきます。しかし、我々に最も身近な赤といえば、革命の赤、そう、共産思想ですね。

これを読んでいる同志は「しんぶん赤旗」、毎日読んでいますか。読んでない? 粛清の対象ですね。

というわけで、赤といえば社会主義というものすごく安直な発想で適当に書き始めたわけですが、今回は日本共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」……ではなく、中国共産党の機関紙を作成している団体が日本向けに中国の国内事情を紹介している「人民網」を見ていきたいと思います。

はい、URLどん。

j.people.com.cn

検索欄の横にあるソーシャルボタンでFacebookTwitterより先にWeiboやWeChatがあるのが異国の地っぽくて素敵です。

さて、2021年11月5日現在、面白そうな記事は……

j.people.com.cn

最近、中国の若者がゴールドを好んで買うようになっているという記事。記事の中では金を買うようになった若者の声を以下のように書いています。

金を買うのは素晴らしいこと!加工料金を払って実店舗でアクセサリーにすることもできるし、金相場が値上がりしたら売ってもうけることもできるし、こつこつ集めて工芸品にしたり、飾っておいたりすることもできる。キラキラして見ていてうれしくなる

キラキラしていてきれいだから! ということですが、そんなバカっぽい理由ではないだろうと疑ってしまうのは俺だけでしょうか。

おそらく、コロナ禍で受けた中国の経済的成長の停滞や不動産会社の経営不振などの影響で人民元に対する不信感が広まっており、その結果として安定した金融資産である金が好まれているのでしょう。金は不況に強い資産の代表的存在です。

中国不動産大手が経営危機:時事ドットコム

中国政府が発行を予定しているデジタル人民元に対する不安もこれを後押ししているのかもしれません。貨幣がすべてデジタルで管理されるのは全体的に見れば効率的ですが、中央集権型の中国のような国家でそれを行うと、政府に都合の悪い個人の資産を一瞬で差し押さえることが可能になってしまいます。共産党の国家運営にすべての中国人が賛同しているわけではないですし、いざという時の保険として金が好まれるのでしょう。

中国の内部事情に詳しくない俺でもこれらの原因が簡単に考えられるのですから、もう少し言及があってもよさそうなものですが、それらが書かれていないのはひとえに「中国共産党にとって都合の悪い」内容だからでしょう。

実際、この人民網のサイトにはアメリカ政府を批判するような記事はあれど、中国政府の政策に対する批判的な内容は一切ありません。

特に中国国外でさんざん話題になっている不動産危機についての内容が全く書かれていないのは妙です。

編集部のコラムと思われる「米国の政治屋が「台湾カード」で中国を牽制する企ては徒労に終わる」という記事は台湾を中国の一部として認めたい体制側の意見を批判なしにそのまま垂れ流しているものですし、「習近平国家主席「中国は外資参入ネガティブリストをさらに削減」」では習近平国家主席の言葉をそのまんま紹介しているだけです。

上の記事で引用されている習近平

一国主義と保護主義に反対し、人類のさらに素晴らしい未来への歩みを後押しするべきだ。開放は現代中国の鮮明なシンボルだ

という発言は突っ込みどころ満載なわけですが、なぜか何も言及されていません。あなたの国、グレートファイアウォール使って外部からの情報を遮断しているはずなんですが……。開放とは粛清のことを指しているのでしょうか?

ただし、政府批判がないおかげで悲観的な記事が全くなく、メディアとして陽気な感じになっていることは評価できます。基本的に中国上げの記事しかないので全体の雰囲気は明るめです。

以下のようなどうでもいいニュースも取り上げられています。

j.people.com.cn

しょうもなさすぎますね。みかんを食べすぎると肌が黄色くなるが、1か月程度で元通りになるというだけの記事。こんな記事ない方がましな気がします。そんなに気になるか?

ちなみに、人民網の中で鳩山さんの記事が結構見つかりました。

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上は鳩山元首相が中国共産党が推進している一帯一路政策を高く評価しているという内容です。一時期から鳩山さんは強烈に中国に傾倒しているのですが、一体、この人に何が起きたのでしょうか。頭が良すぎて一周回ってしまったのでしょうか。

たいして書きたいネタもなかったのではてなブログさんが提供してくれた「赤いものは好きですか」というお題に沿って中国共産党の機関紙の日本語版の記事についてみていきました。同志の暇つぶしぐらいにはなったかな。