台湾カステラって最近流行っている気がするんですが、そう思うのは自分だけでしょうか。
俺が「台湾カステラ」なるものを初めて食べたのはバーミヤンにてでした。2021年の夏の新メニューの一つとして紹介されており、冷たいやつと温かいやつが選べました。俺は「ひんやり」の方を選びました。お得なはちみつ付き。
食べた感想は、しっとりしていておいしい! 生地がきめ細やかでちょっともっちりしています。日本のカステラよりもずっしりしていて、「カステラ」というよりも蒸しパンみたいな感じです。というより、これは……
北海道チーズ蒸しケーキでは?
もちろん、チーズは入っていないので、台湾カステラの方にチーズの風味は全くないんですけど、スポンジの触感とかほのかな甘みとかがヤマザキ北海道チーズ蒸しケーキなのです。
ならば、台湾版北海道チーズ蒸しケーキと呼ぶべきでは? 見た目的にも蒸しケーキ寄りです。
そもそも、カステラの定義とは何でしょう。カステラといえば直方体でちょっと上が焦げているお菓子ってイメージですが、台湾カステラはそのいずれも満たしていません。うまく剝がれなくてイライラするあの謎の薄い紙もついていません。あの紙、食べちゃいけないって知ってました? 俺は最初食ったよ。カステラの食べ方の説明書付属してなかったもん(怒)。
goo国語辞書によると、
《(ポルトガル)pâo de Castelhaから。カスティーリャのパンの意》小麦粉・鶏卵・砂糖などをまぜて焼いた菓子。室町末期にポルトガル人が長崎に伝えた。カステーラ。
この定義に異論のある人はいないでしょう。泡立てた卵に小麦と砂糖(もしくは水あめ)を混ぜた生地を焼いたお菓子。もともとは外国のお菓子だった。長崎のカステラが有名。さすが、要点を全部抑えています。
なるほど台湾カステラも長崎のカステラ同様、材料は小麦粉、卵、砂糖です。長崎のカステラと違うのは天火で焼くのではなく、蒸し焼きにするという点。やっぱりお前、北海道チーズ蒸しケーキなんじゃ……。
そもそも、カステラというのはカスティーリャ地方(現在のスペインあたりの昔の地名)のパンがもとになったから「カステラ」なのです。台湾といえば歴史的にはオランダに支配されていた時代がある地域。ポルトガルやスペインとの交易もあったらしいですし、その点、きちんと満たしていそうです。
なので、台湾カステラの起源はオランダ統治時代にあるのではないかと探したのですが、見つかりませんでした。代わりに見つかったのが、以下の記事
(台湾カステラは現地では「古早味蛋糕」と呼ばれています)
繁体字で書かれているので、台湾のメディアだと思われます。興味あったらGoogle翻訳通して見てください。前半は台湾カステラのルーツについて、後半は台湾カステラの韓国での展開について書かれています。
注目すべきは以下の部分
然後在台灣日治時期,換日本把這個蛋糕傳進台灣,也一樣經過在地化,改良成符合台灣人的口味。
Google翻訳によると、「その後、台湾の日本占領期に、日本の台湾にケーキが紹介され、台湾人の好みに合わせてローカライズされ、改良されました」とあります。
んん? 日本統治時代に長崎カステラが台湾に輸入されたものが台湾カステラってことなんでしょうか。上で紹介している台湾のメディアがどのくらい信用できるものなのか判別つきませんが、もしそうだとすると、台湾カステラはポルトガル=>日本=>台湾、という経路をたどって作られたお菓子だということになります。
さらに興味深いのは、台湾カステラは台湾国内では昔のお菓子という立ち位置だったという点。金平糖とかかりんとうみたいな感じでお菓子としてはあんまり人気はなかったそうです。では、なぜ今、こんなにブームになっているのか。
それは、韓国が台湾カステラに目をつけて広めたからです。2016年ごろ、観光では台湾カステラブームが巻き起こり、話題のスイーツとして韓国国内で一世を風靡します。
韓国国内では台湾カステラに関する食品偽装事件がありそのブームは下火となってしまったようなのですが、2021年の今、そのブームが海を越え日本にやってきました。……ん? よくよく考えてみると、日本に戻ってきただけのような。
台湾カステラの変遷を見ていきましょう。まず、台湾カステラの元となったカステラは日本で生まれました。そして、日本のカステラはポルトガルのお菓子がもとになっています。ただし、台湾カステラを現代風にアレンジしたのは韓国です。
ポルトガル発祥の和菓子がもとになった韓国プロデュースの台湾お菓子。
それが台湾カステラ。
お前は一体……誰なんだ?