どうもshigoroxです。
ひょんなことから、『少林サッカー』が見たいと思うようになり、AmazonPrimeでレンタル購入、視聴しました。
「少林寺拳法の力を使って、サッカーの大会で優勝する」というユニークで面白い着想もさながら、その過程をエンターテインメントして見せる演出の手法が何よりもずば抜けている名作です。
「『少林サッカー』の名シーンって何?」と聞くと、三者三様の答えが帰ってくるほど、名シーンだらけの本作ですが、俺が独自に(ネット上で)調査してみると、人気が高いのは「デビルチームのゴールキーパーの服が剥がれるラストのシュートのシーン」か
「1番上の兄弟子の屈辱を目の当たりにした兄弟弟子たちが少林の力を取り戻すシーン」の2つみたいです。
俺はどちらも大好きです。特に後者。敵チームに許してもらうために地に頭をついて許しを乞い、挙げ句の果にパンツを被らされるという兄弟子の情けないシーンからの覚醒。まさに大逆転!
「……戻ってきた」というシンのセリフから続く、止まったような時間の中でのシュールな場面の独特の空気感はこの映画でしか味わえないです。
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この切り抜きの画像だけで2コマ漫画として使えそうなぐらい演出が神がかってます
……そんな人気のある2大シーンの他に、俺が一押しの場面としてあげたいのは兄弟子たちをサッカーに誘うシーン
映画の仲間集めのシーンって、ワクワクするので大好きです。一癖も二癖もありそうな連中が矢継ぎ早に登場しては次の人物へと焦点が切り替わっていきます。
『少林サッカー』の場合は、ナイトクラブで働く一番上の兄弟子"鉄の頭"を筆頭に、バラックで過ごしている失業中の"魔の手"、証券マンとして稼いでいる(?)"鎧の肌"、ぶくぶくに太った"空渡り"に髪の後退を気にする"旋風脚"。
どの兄弟弟子もサッカーをすることには否定的でシンとファンの提案を断るのですが、その短いシーンでそれぞれのキャラクターを見せようとする演出が秀逸なんです。
例えば、”魔の手”。求職中の彼は、シンの隣りにいるファンの顔を見るなり、彼に取り入ろうとぺらぺらとお世辞をまくしたてるという調子の良さ。ファンが仕事を紹介してくれないと見るや急に冷たくなって、面会謝絶。
”鉄の鎧”に関しては、どう見ても一流の証券マンには見えないのですが、とにかく忙しそうにしている。金融の世界では1秒の間に大金が動いているんだ、という大言壮語とは裏腹に彼がお金に恵まれているようには見えません。”空渡り”はデブで”旋風脚”はハゲ。
全般的にお金がないのはもちろん、社会的、身体的にもそれぞれコンプレックスを持っていて、誰にも認められないという人生のどん底にある彼ら。観客の同情心や共感を誘うのはもちろんのこと、物語の開始時点での彼らの状態をもっとも低い場所に置くことで、その後の逆転劇のカタルシスのフリを作っています。
そんな彼らが、写真を見ながらかつて行った少林の修行を思い出し、シンの元に集う。
仲間集めからこのシーンへの流れがスムーズで素晴らしい! めちゃくちゃ格好いい演出で、そこら変にいるおっちゃんや兄ちゃんみたいが登場するというギャップがこのシーンの面白さを際立たせているのでしょうね。みんな謎のサングラスかけてますし。お前らちゃんと段取り決めて来たんか! と突っ込みたくなります。
と、まぁ、全編を通じておバカ格好いいという稀有なシーンで敷き詰められた『少林サッカー』。見直してみて、やっぱり最高だなと改めて感じました。
余談ですが、気に入ってるシーンって見返してみると思っていたよりも短く感じることってありませんか?
兄弟子たちが写真を見て決意を固める場面って自分の記録だと結構長かった記憶ですが、見返してみるとかなりテンポよくまとまっていました。
主人公のシンとチーム監督のファンの見せ場があるのは当然として”鉄の頭”、”魔の手”、”鎧の肌”、それぞれ見せ場が用意されています。ただ、”旋風脚”に関しては見せ場と呼べるシンがない気がします。脚本上には存在するが、尺の都合でカットされた部分があるのかぁ。それとも自分が見落としている? 脚をぶんぶん振り回すだけの”旋風脚”を役立たせるアイデアがなかったのかもしれないですが笑
ちなみに、人気No1と思われるキーパーの服が破れるシーンはこれ。
不正をしていたとはいえ、こんなことになるなんて、可哀想すぎる。
『少林サッカー』。名作でした!